1998-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『サラブレッドの幸せ』

セン馬は種牡馬になることが出来ない。引退したレガシーワールドは、生まれ故郷のへいはた牧場に帰って、余生を過ごすことになった。最近、レガシーワールドは、相棒だったポニーのパピーちゃんが亡くなってしまったということで、寂しそうな様子を見せてい…

『夢の終わり』

さて、レガシーワールドには6歳時にアメリカ遠征のプランも持ち上がった。確かに天皇賞・春に出られない以上、レガシーワールドが目標とすべきレースは宝塚記念(Gl)まではない。ジャパンCを勝って国際Gl馬となった以上、レガシーワールドは色々と差別の多…

『名馬の涙』

続く有馬記念(Gl)では、レガシーワールドは激走の疲れか、トウカイテイオーとビワハヤヒデの死闘から遠く離された5着に敗れた。掲示板を外さないのはさすがだが、レガシーワールド本来の走りでなかったことは否めなかった。 一部の一流馬は競馬の意味を知…

『ゴール誤認の余波』

さて、レガシーワールドの勝利に終わったジャパンCだったが、デザーモ騎手のゴール板誤認事件によってその後味がやや悪いものとなったことは否定できない。レース後の取材はレガシーワールドよりもコタシャーン陣営に集中した感があったし、「あのミスがな…

『そして世界の頂点へ』

レースはやはりメジロパーマーが引っ張る展開で、レガシーワールドは2番手につけた。それに続くのがマチカネタンホイザ、ライスシャワーらで、前で競馬をするのがほとんど日本馬という形になったため、ここまでは普通の国内戦と変わりなかった。しかし、この…

『最強の外国馬達』

しかし、立ちはだかる敵は大きい。この年のジャパンCは、史上屈指の世界の強豪たちが集結したレースとなった。 米国からは、ブリーダーズカップターフ(米Gl)を制したコタシャーン、同レース3着のルアズー、そしてアーリントンミリオン(米Gl)など、この年…

『別離(わかれ)を乗り越えて』

レガシーワールドは、AJCC(Gll)でホワイトストーンの2着に敗れた後、骨折が発覚して長期休養に入ったが、その間に管理調教師だった戸山師は、ガンに倒れた。戸山師のガンはもう手の施しようがないほどに悪化しており、もう馬をみることはできなかった。こ…

『世代の「雄」として』

4歳のレガシーワールドが出走したジャパンC(国際Gl)は、その年から国際Glに認定されていた。このレースに勝つことは、取りも直さず世界に認められることになる。日本競馬の新しい時代の到来である。ここで、レガシーワールドは、10番人気ながらもトウカイ…

『裏街道』

閑話休題。重賞初制覇を果たしたレガシーワールドだが、哀しいかなこの後は、彼に適した良いレースがなかなかなかった。もともと当時のレース体系上、有力な4歳馬は、この時期菊花賞か天皇賞・秋(Gl)に進むようになっている。しかし、セン馬であるレガシー…

『宦官の復讐』

こうして本格化したレガシーワールドの次走は、関東へ遠征してのセントライト記念(Gll)に決まった。レガシーワールドにとって、重賞初挑戦である。 セントライト記念は菊花賞トライアルだが、それと同時にセン馬にも門戸が開かれている珍しいレースである。…

『変身』

すると、レガシーワールドは馬が変わったように快進撃を始めた。復帰初戦は「心悸亢進」という訳の分からない理由で騎手を振り落とす大暴れを見せて競走除外となったものの、実質復帰初戦の次走で初勝利を挙げた。すると、それをきっかけに、3歳時が嘘のよう…

『気性難』

こうして生まれたレガシーワールドだったが、彼には両親から受け継いだ致命的な欠陥があった。それは、気性難である。 レガシーワールドの父であるモガミは、三冠牝馬メジロラモーヌやダービー馬シリウスシンボリを出した名種牡馬である。このほかにも障害で…

『レガシーワールド』

レガシーワールドは、静内のへいはた牧場で生まれた。父はモガミ、母はドンナリディアという血統である。 へいはた牧場は、幣旗力氏が(株)ホースタジマの社主を務めていた田島正雄氏に運営を任されて始まった牧場である。もともと土地、資金の準備は田島氏…

『一代の名馬』

去勢するということは、その馬の関係者にとっては大きなリスクを伴う。シャドーロールやプリンカーのような矯正器具と違って、去勢手術はいったん施してしまうと、もはや取り返しがつかない。牡馬が活躍すれば引退後も種牡馬としての価値があり、高額のシン…

『せん馬の謎』

競馬を覚えたての人間が必ず突き当たる疑問として、馬の性別表示欄の「セン」という記載の意味は何かという問題がある。 性別欄の記載である以上、「牡」「牝」はビギナーにもわかる。しかし、何レースに1頭ほどの割合で紛れ込んでいる「セン」とは、何者な…

■第006話―世界夢見た名伯楽の遺産「レガシーワールド列伝」

1989年4月23日生。牡(せ)。鹿毛。へいはた牧場(静内)産。 父モガミ、母ドンナリディア(母父ジムフレンチ)。 戸山為夫厩舎(栗東)→森秀行厩舎(栗東)。 通算成績:32戦7勝(3-8歳時)。主な勝ち鞍:ジャパンC(国際Gl)、セントライト記念(Gll)、ド…