『変身』

 すると、レガシーワールドは馬が変わったように快進撃を始めた。復帰初戦は「心悸亢進」という訳の分からない理由で騎手を振り落とす大暴れを見せて競走除外となったものの、実質復帰初戦の次走で初勝利を挙げた。すると、それをきっかけに、3歳時が嘘のように結果を出し始めたのである。

 生まれ変わったレガシーワールドは、初勝利の後も3着、1着、1着、2着、と安定した成績を残すようになった。レガシーワールドについて森調教助手(現調教師)は

「骨折さえ治れば(同期の)ミホノブルボンとどっこい」

と言っていたが、そんな素質がようやく開花したといえた。もっとも、散々期待させられながら裏切られ続けた3歳時の反動か、生産者である幣旗氏は、勝っても勝ってもレガシーワールドの実力をいっこうに信用しなかったとのことである。