『ゴール誤認の余波』
さて、レガシーワールドの勝利に終わったジャパンCだったが、デザーモ騎手のゴール板誤認事件によってその後味がやや悪いものとなったことは否定できない。レース後の取材はレガシーワールドよりもコタシャーン陣営に集中した感があったし、
「あのミスがなければコタシャーンが勝っていた」
という論評も一部でなされたからである。
しかし、レガシーワールドにとっては「何を言うか」といいたいところであろう。レガシーワールドはコタシャーンに1馬身4分の1の差を付けてゴールしている。確かにコタシャーンの脚色は良かったが、レガシーワールドも上がり3ハロン36.1秒、ラスト1ハロンを12.0秒でまとめており、脚が止まっていた訳ではなかった。残り1ハロン弱をコタシャーンが懸命に追っていたとしても、差は縮まっただろうが果たしてこれだけの差を逆転までもっていけたかどうかは疑問である。
ファンもそのことは分かっていたのだろう。レガシーワールドの場合、メジロマックイーンの降着で天皇賞馬となったプレクラスニーと違って、その勝利の価値そのものを貶められることはなかった。現実世界で真っ先にゴールしたかどうかの違いだろうか。