『裏街道』

 閑話休題。重賞初制覇を果たしたレガシーワールドだが、哀しいかなこの後は、彼に適した良いレースがなかなかなかった。もともと当時のレース体系上、有力な4歳馬は、この時期菊花賞天皇賞・秋(Gl)に進むようになっている。しかし、セン馬であるレガシーワールドは、そのいずれからも閉め出されていた。

 そんなレガシーワールドは、大目標としてジャパンC(国際Gl)、有馬記念(Gl)を目指すことになった。ただ、このふたつのレースに出るためには、セントライト記念優勝だけではまだ実績不足であり、何とか他のレースを勝って実績を積み上げる必要があった。

 レガシーワールドは、東京スポーツ杯、ドンカスターSという2400mのオープン戦を連勝して、ジャパンCへと駒を進めることになった。連勝したレースはいずれもハンデ戦で、一流馬の出るレースではなかった。しかし、セン馬ということで活躍の場が限定されているレガシーワールドにレースを選ぶことはできなかったのである。