『月見草のように』

 3歳になって境直行厩舎へと入厩したフレッシュボイスは、やがて福島へと連れていかれ、芝1000mの新馬戦でデビューすることになった。父の実績からすれば、平坦コースの3歳戦、それも短距離というのは、格好の稼ぎ時といえた。10月というデビューも、有力馬が中央開催でデビューする中でのローカル開催にあたり、相手関係はかなり楽な時期である。

 ところが、このレースでのフレッシュボイスは、11頭だての7番人気に過ぎなかった。少なくともこの時期のフレッシュボイスは、ファンの注目を集める存在ではなかった。

 不良馬場でのレースとなったデビュー戦を、生涯ただ一度の逃げ切りで制したフレッシュボイスは、次走のきんもくせい特別(400万下)では、7頭だての6番人気ながら見事な差し切り勝ちを収め、2連勝を飾った。続く福島3歳Sでも、8頭だて5番人気の低評価に甘んじながら、鋭い追い込みで3着に入った。

 フレッシュボイスの3歳戦は、福島での3戦だけに終わった。しかし、その戦績は3戦2勝3着1回という立派なものだった。デビュー前の注目度を考えれば、上々の戦果だった。