『ダイユウサク』

 ダイユウサクは、1985年6月12日、門別の優駿牧場(現・待兼牧場)に生まれた。父のノノアルコは、世界的な種牡馬であるNearcticの子にあたる。Nearcticの子としてはNorthern Dancerが圧倒的な知名度を誇っているが、ノノアルコ英2000ギニーなどGl4勝を含め、10戦7勝を記録しており、一流馬といって遜色のない成績を残している。輸入前には欧州で供用されていたノノアルコは、仏2000ギニー馬メリーノ、愛1000ギニー馬ケイティーズ(ヒシアマゾンの母)を出しており、日本に輸入されてからも、Gllを3勝したカシマウイングなど多くの重賞馬を出し、なかなかの成功を収めたと評価されている。

 ダイユウサクの母は、1勝馬のクニノキヨコである。彼女の産駒のうちダイユウサク以外に特に活躍した馬を挙げるとすれば、名古屋競馬で15勝を挙げた半弟ダイソニック(父カネミノブ)が挙がる程度である。ただ、彼女の母クニノハナはビクトリアC(現エリザベス女王杯)や京都牝馬特別など6勝を挙げており、血統的には悪くないものを持っていた。当時の優駿牧場は、牧場の方針として、廉価な種牡馬を種付けして零細馬主でも気軽に買ってもらえる馬の生産を中心的に行っており、その中でのノノアルコは、種牡馬としてはかなりの高馬に属していた。

 クニノキヨコにノノアルコを交配したのは、優駿牧場の人々がクニノキヨコに対して期待していた証明だった。ノノアルコを父として生まれたダイユウサクは、生まれた時には当然のことながら牧場の人々の期待を集めていた。