『私たちに会うために』

 種牡馬ダイユウサクが送り出した産駒は、後に中央競馬でホウライカップが平地で1勝、そして平地では未勝利に終わったシリウスランドが障害に転じて2勝を挙げた。だが、ダイユウサクは、そんなことなど素知らぬ顔で、現在は「AERU」でのんびりとした余生を過ごしている。

 かつて有馬記念の勝利を伝える新聞に「理不尽馬が世紀末を駆け抜けた」と伝えられたダイユウサクだが、彼は新世紀の今もなお健在である。そんな彼の仕事は、そこにいることによって私たちに競馬の素晴らしさを語り伝えることにある。

 だから、もし「AERU」に行くことがあったら、彼に会ってほしい。牧場の種牡馬と違って、ダイユウサクは私たちに会うために「AERU」にいるのだから。彼は今も彼にとっての安息の地「AERU」の放牧地で、のんびりと草を食んでいるはずである―。[完]

記:1998年8月11日 第2版:1999年9月18日 第2版3訂:2003年4月6日
文:「ぺ天使」@MilkyHorse.com
初出:http://www.retsuden.com/