『さらば戦いの日々』

 ハクタイセイは、その後、調教中に屈腱炎に見舞われて長期休養を強いられることになった。その症状は重く、戦列離脱の期間は長引いた。それでも布施師ら関係者の苦労によって、ハクタイセイは翌年の安田記念(Gl)にようやく登録するところまでたどりつき、いよいよ出走がかなうか、とも思われた。

 しかし、運命は残酷だった。再発しやすく「不治の病」と呼ばれる屈腱炎は、安田記念直前のハクタイセイをまたも奈落へと突き落とした。屈腱炎が再発したハクタイセイは、安田記念への出走も取り消され、そしてついに引退へと追い込まれてしまった。結局、ハクタイセイにとって、ダービーが生涯最後のレースになった。