『クラシック開幕』

 メジロライアンが戦った1990年牡馬クラシック戦線は、例年にないハイレベルでの激戦だったことで知られている。そんな中、牡馬クラシック第1弾となる皐月賞(Gl)は4月15日、中山競馬場で行われた。

 この時のスタートは、この年の波乱のクラシックの幕開けを告げるかのように、大きく荒れた。1番人気のアイネスフウジン、2番人気のメジロライアン、この2頭がともにスタートで躓いたのである。

 スタートが下手なメジロライアンがスタートで少し立ち後れたのはある意味予想の範囲内だったかもしれない。しかし、1番人気で逃げ馬のアイネスフウジンまでがスタートを失敗するというのは、ほとんどのファンにとって予想もつかない事態だった。もっとも、こちらのスタート失敗はスタート時に隣の枠にいたホワイトストーンが斜行したことによるものであり、ホワイトストーンにぶつかられた際にアイネスフウジン中野栄治騎手が大きくバランスを崩す、というアクシデントなど予想できるはずもなかった。しかし、どんな形であれアイネスフウジンは、不本意ながらフタバアサカゼの後ろで2番手を行く形になった。