1999-01-08から1日間の記事一覧

『時代の中の彼』

オサイチジョージというサラブレッドを語る場合、果たしてどのような評価が正当なものといえるだろうか。一般的なファンのオサイチジョージ観は、「フロックでオグリキャップに勝った幸運な馬」 「オグリキャップのラストランに続く『終わりの始まり』を演出…

『忘れられて』

こうして競走馬生活を終え、種牡馬入りするために北海道へと帰っていったオサイチジョージだったが、引退後の彼のイメージに暗い影を落とす事件が起こったのは、その直後のことだった。オサイチジョージがターフを去って間もない1992年4月、オサイチジョージ…

『それから』

宝塚記念(Gl)でオグリキャップ、イナリワンを下してGl制覇を果たしたオサイチジョージに対しては、次代の競馬界を担う新世代のエースとして、大きな期待がかけられた。長く競馬界を支えてきた「平成三強」だったが、イナリワンは既に7歳、オグリキャップとス…

『最初で最後の・・・』

オサイチジョージが勝者となった背景に、この日オサイチジョージにとって有利な条件がいくつか重なったことは事実である。主催者発表は良馬場ながら、4開催使われて荒れた馬場は、先行馬有利のものだった。また、オグリキャップの鞍上の岡潤一郎騎手は、普通…

『衝撃、走る』

オサイチジョージは、第4コーナーで楽な手応えのまま先頭に立った。オグリキャップは、まだ2、3馬身後方にいた。しかし、その時ファンのほとんどは、数十秒後に何が起こるかをまったく予測していなかった。オグリキャップが差し切るには、十分な位置と思われ…

『前へ』

この日のレースは、人気薄のシンウインドの逃げから始まった。オサイチジョージと丸山騎手は、2番手に取りついた。後方待機を決め込んだ安田記念とは、全く違う戦法だった。 オグリキャップは、この時4番手と絶好の位置をキープしており、勲章をひとつ加える…

『秘策』

宝塚記念を直前に控え、競馬界にあるニュースが飛び交った。それは、宝塚記念への出走を目前に控えたスーパークリークが、脚部不安を発症して回避するというものだった。そのため、「平成三強」のうち実際にレースに駒を進めたのは、オグリキャップとイナリ…

『敵は怪物』

スーパークリーク、オグリキャップには完膚なきまでに敗れたオサイチジョージだったが、Glllを連勝した後、産経大阪杯(Gll)で2着、安田記念(Gl)で3着という戦績は立派であり、夏の総決算として宝塚記念(Gl)へと駒を進める資格は十分あった。ただ、事前の予想…

『白い怪物』

オグリキャップは、競馬ファンなら説明を要しないであろう名馬の中の名馬である。3歳時は公営笠松競馬で走って12戦10勝2着2回という戦績を残した彼は、4歳になって中央へ転厩した。クラシック登録がなかったため、クラシック戦線には出走できなかったものの…

『三強の一角』

オサイチジョージが進んだ産経大阪杯の出走馬の中には、「平成三強」の一角スーパークリークの名があった。スーパークリークは、4歳春のクラシックこそ不出走ながら、秋に復帰して菊花賞(Gl)を制し、有馬記念(Gl)は3着入線(失格)、5歳時も春は不出走ながら、…

『悲しき世代の雄として』

菊花賞でまさかの大敗を喫したオサイチジョージ陣営は、1990年の始まりを告げる京都金杯(Glll)で、出直しを図ることになった。本命になると思われていたバンブーメモリーが直前で回避したため、重賞2勝の実績は出走馬の中でも格上となり、56kGは他の3頭と並…

『秋風』

続く菊花賞(Gl)では、オサイチジョージとバンブービギンに対するファンの支持は逆転することになった。菊花賞(Gl)で1番人気に推されたのは、春のクラシックでは影も形もなかったバンブービギンだったのである。 2番人気に支持されたのは、京都新聞杯(Gll)4着…

『出揃うライバル』

オサイチジョージが駒を進めることができなかった1989年春のクラシック戦線は、空前の大混戦となっていた。皐月賞(Gl)は道営出身のドクタースパート、日本ダービー(Gl)はそれまでダートでしか勝ち鞍のなかったウィナーズサークルが制した。牝馬戦線でも同様…

『人と馬と』

3歳になったオサイチジョージは、土門一美調教師に預けられて競走馬を目指すことになった。土門師は、オサイチジョージの主戦騎手として、自分の弟子である丸山勝秀騎手を起用した。こうして、オサイチジョージの競走馬生活がスタートすることになった。 3歳…

『オサイチジョージ』

オサイチジョージは、1986年4月13日、北海道三石郡三石町の大塚牧場で産声を上げた。オサイチジョージの母であるサチノワカバは、道営競馬で3勝を挙げている。サチノワカバの牝系は、大塚牧場が何代にもわたって育んできた牝系で、叔父には阪神3歳Sを勝った…

『ある時代の終わり』

日本競馬史上「三強時代」と称された時代は多いが、それらが本当に「三強の時代」というに値するものだったかどうかを検証していくと、必ずしもそう呼ぶことがふさわしくない場合も少なくない。「三強時代」というからには、傑出した3頭の名馬が互いにしのぎ…

■第007話―さらば、三強時代「オサイチジョージ列伝」

1886年4月13日生。牡。黒鹿毛。大塚牧場(三石)産。 父ミルジョージ、母サチノワカバ(母父ファバージ)。土門一美厩舎(栗東)。 通算成績は、23戦8勝(3-7歳時)。主な勝ち鞍は、宝塚記念(Gl)、神戸新聞杯(Gll)、京都金杯(Glll)、中京記念(Glll)…