『想いを走る力に変えて』
現役時代から多くのファンの心に鮮烈な印象を残したメジロライアンだが、どうやら種牡馬としても、内国産種牡馬の苦戦の中で、大成功を収めた幸福な例外となりつつあるようである。一方、彼と苦楽を共にした横山騎手も今や関東、そして日本を代表する騎手の一人に成長し、Glともなると出馬表に彼の名前を見ない方が少ないという状況となっている。
その横山騎手は、「北海道へ行ったときはライアンに会いに行くことがある」という。彼にとってのメジロライアンとは、騎手としての原点を忘れないための存在なのかも知れない。
こうしてメジロライアンの馬生をみていると、実に多くの人々の想いに囲まれていたことがよく分かる。横山騎手、奥平師をはじめとする奥平厩舎、故郷のメジロ牧場のスタッフ、そして無数のファン・・・。これほど多くの人々が彼に対しては今もなお特別な想いを語り続けている。彼らにそこまで愛されたメジロライアンが幸福な馬だったことは間違いない。
そして、メジロライアンの素晴らしいところは、それらの想いを裏切ることなく彼らの思いに応えてきたことである。メジロライアン、それは人々の想いを競走馬としての力、そして種牡馬としての力に変える能力を持った、希有な馬だったのかも知れない。[完]
記:1999年12月30日 補訂:2000年11月30日 2訂:2002年1月28日
文:「ぺ天使」@MilkyHorse.com
初出:http://www.retsuden.com/