『獅子にかつての光なく』

 レオダーバンは、奥平師ら関係者の必死の努力によって、何とか実戦に復帰した。しかし、復帰後のレオダーバンは、もはやかつてのレオダーバンではなかった。

 レオダーバンの復帰戦は、故障前のレオダーバンが目標としていた有馬記念からちょうど1年後になる1992年の有馬記念(Gl)だった。しかし、1年2ヶ月ぶりの実戦となったこのレースでのレオダーバンの鞍上に、それまで主戦騎手だった岡部騎手の姿はなかった。レオダーバンの休養中にトウカイテイオー陣営から騎乗依頼を受けた岡部騎手は、この日もレオダーバンではなくトウカイテイオーを選んだのである。

 横山騎手と新馬戦以来となるコンビを組んだレオダーバンだったが、屈腱炎の影響はいかんともしがたく、最後方のまま見せ場すら作ることができずに13着に惨敗した。続くAJCC(Gll)でも、格下の相手の中で、9頭だての8着という無残な結果に終わった。やはり、悪魔の病はレオダーバンの脚を蝕み、その能力を奪い去っていた。菊花賞でファンを魅了した強いレオダーバンは、ターフに二度と戻ってこなかった。