『楽あれば苦あり』

 しかし、宝塚記念を制して悲願のGl制覇を果たしたスズパレードを待っていたのは、またしても苦難の道だった。激走の代償は、3度目の脚部不安発症だったのである。

 富田師は、後にスズパレードについて

「骨折以外の脚部不安は、すべて経験した」

と回想している。卓越した能力を持つスズパレードだったが、そうであればこそ、馬体・・・というよりは自らの能力をその脚で支え切ることができなかったのかもしれない。

 この時の休養は、既に7歳という高齢のためもあって、これまでにないほど長引いた。この年の秋はもちろんのこと、翌年の春も全休した。

スズパレードはこのまま引退するのではないか」

 そんな観測が流れたのも、当然のことだった。