『大器晩成』

　メジロデュレンは、3歳になると栗東の池江泰郎厩舎へと入厩した。池江師は、現役時代のメジロオーロラも管理しており、さらに後には弟のメジロマックイーンをも管理することになる、彼の一族とは縁の深い調教師だった。

　「メジロ軍団」の馬は、晩成馬が多いといわれることが多い。また、メジロデュレン自身、後世のイメージでは晩成という印象が強いが、実際の彼は、同期の中でも仕上がりはむしろ早い方であり、デビューは8月の函館だった。

　しかし、デビュー戦での彼の人気は、7頭だての5番人気で、まったく期待された存在ではなかった。また、後に距離が伸びて実力を発揮したメジロデュレンにとって、やはり平坦コースの1200mでは距離が足りなかったのだろう、このレースでは3着に敗れてしまった。折り返しの新馬戦でも、結果は2着だった。勝ち切れないレースを2戦続けた彼を待っていたのは骨折、そしてあまりにも早い長期休養という未来だった。

　通算3戦目となった復帰戦で初勝利を挙げたメジロデュレンだったが、その時期はというと、翌年の鯉のぼりが片づく季節までずれ込んだ。

　しかし、その後のメジロデュレンの出世は早かった。初勝利の後に2戦足踏みしたものの、その後2勝目を挙げた。そして、2勝馬の身で挑んだ巴賞(OP)では強豪ウィンザーノットの3着に迫ったことで、池江師、そしてファンを驚かせた。オープン特別3着では本賞金の上積みはないが、自己条件の樽前山特別、そして菊への切符をかけた嵐山特別を連勝することで、メジロデュレンは1歩ずつ自分自身の階段を昇っていった。こうしてメジロデュレンはオープンへと突入し、晩秋の淀、菊花の舞台に立ったのである。