『突然の幕切れ』

 6歳になったメジロデュレンは、Glを2勝しながらもなかなか認めてもらえない自らの実力を証明するために、Gl2勝馬としては過酷ともいえるローテーションで7戦したものの、ついに未勝利に終わった。ステイヤーメジロデュレンにとって、最大のチャンスは天皇賞・春(Gl)にあるはずだったが、輸送中に外傷を負うトラブルもあって、タマモクロスの3着に完敗した。有馬記念では、これから伸びようかという直線で、2歳年下の菊花賞スーパークリークの強引な割り込みに遭って5着に敗れ、有馬記念連覇の夢は戦場の露と消えた。スーパークリークはこれが原因で失格となったものの、勝機を逸した彼らには何の慰めにもならなかった。

 池江師は、不本意な成績に終わった6歳時の結果に満足せず、今度こそ天皇賞・春を目指してメジロデュレンに現役を続行させるつもりだった。ところが、有馬記念でゲート入りが悪かったメジロデュレンに下された処分は、予想以上に重い3ヶ月の出走停止処分だった。これでは天皇賞・春にはぶっつけで臨むしかない。叩かれて良くなるタイプのメジロデュレンにとって、前哨戦をまったく使わずに天皇賞・春で万全の状態にもっていくことは不可能だった。

 こうしてメジロデュレンの現役引退、種牡馬入りが決定した。メジロデュレンが断念した天皇賞・春は、公営から来たイナリワン武豊とともに圧勝した。時代は昭和から平成へと移り、競馬界もオグリキャップスーパークリーク、そしてイナリワンという平成三強の時代へと突入していく。新しい時代が訪れようとしていたそのころ、メジロデュレンは寂しくターフを去っていった。